ISBN:4061820001 単行本(ソフトカバー) 森 博嗣 講談社 1998/01 ¥819

今日は最近読んでてがつーんとやられた本の一節について。

焼けて収縮しかけた精神に
まだ消えないオアシスの祈りを
少しだけ漂いみせて
(「夏のレプリカ」より/森博嗣)

1998年リリースのS&Mシリーズの第7作。前作『幻惑の死と使途』と同時期に起こった事件として本作は偶数章しかないという設定。
初期の頃から森作品の中心テーマは狂気だったが、これはかなりの凄みを見せていると思う。
まあ、話自体はミステリーなのでネタばれになるからおいといて。

で、この一節、すいません、かなりキました。

夏というのは不思議な季節だといつも思う。
ギラギラとした太陽の下では、“生きている”ということをものすごく意識するのだけれど、一方では弱ったものには耐えられない季節でもある。
はっきりいって“夏”という季節はきらいだ。
生と死の両極端のギラギラとした空気をまとった季節だと思うから。
どちらかというと淡白なワタクシには、非常にキツイ季節。
ただ、上の一節のように、焼けて収縮してしまうほどに何かにかけてみたり、狂えてみたりできる人をちょっぴり羨ましく思うのも事実。

そんなあらゆる意味でアツイ夏が終わろうとしてますね・・・。
どうして夏という季節は、しみじみと終わりを惜しんでしまうのか。
何かが終わったような気持ちになるんだろうか。

と、この夏、何もなかったワタクシが言ってみたりして。しくしく。

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